瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


『ねぇ,アイリス。
あなた…どうして生きてるの…?』

『あなたなんて,生きてる価値も何もない。』

『早く死んじゃった方が良いよ。』

『悪魔は早く,滅びてしまえ。』

「ごめんなさい…。」

暗闇の中,ずっとずっと謝った。

生まれてしまって,ごめんなさい。
王族になって,ごめんなさい。
やきもちやいて,ごめんなさい。
愛されようとして,ごめんなさい。
助けられなくて,ごめんなさい。
自分だけ逃げて,ごめんなさい。
生き残ってしまって,ごめんなさい。

–––––––死ぬ勇気がなくて,ごめんなさい。

夢を見るたび,夜になるたび,たくさんの人に謝った。

そうすれば,報われると思った。

私の罪も,何もかもなくなる。

でも,夢の中ではみんな私を責める。

私が許されることは,ないのかもしれない。
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