瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「アイツに,復讐をして欲しいの。」

ふわりと笑ってお母様は言った。

私は目を見張った。

「お母様…?何を言っているのですか?」

「…イアン達を殺した王に,復讐をして欲しいの。」

ああ…そういうことか。

どうやらお母様は,怒りが段々積み上がっていくタイプだったみたい。

段々段々,イアンとお父様への悲しみが募り,怒りが生まれたのだろう。

お母様は,穏やかな顔をして私を見ている。

その顔はまるで…

“チャンスをあげる”

そういっているようだった。
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