瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
私は,アイリスであることをやめる。
私が主人公の本があったとして,その本をめくる少女になってみる。
つまり,客観視してみるのだ。
アイリスは,毎晩毎晩責められる夢を見る。
それが何年も続き,そろそろ限界まで近づいてきている。
このままでは,アイリスはボロボロになってしまう。
そんな時に来た一つの事案。
成功すれば,アイリスは悪夢ににうなされることが軽減させられるかもしれない。
苦しみから解放されるかもしれない。
当時の私は,本当に夜が嫌いだった。
何度も何度も繰り返す悪夢。
『人殺し…!』
そう責めてくる国民達。
光が見えない未来に,不安で仕方ない夜を何度も過ごした。
復讐は,お父様や,イアン,国民への,罪滅ぼしになるかもしれないと思っていた。
でも,違ったのだ。