瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
お母様は,私のことなんかどうでも良かったのだ。

大事な娘なら,王を殺すことなんて勧めないだろう。

ひっそりでも2人で暮らしていけばそれで良いわ。
イアン達を殺した王様は憎いけれど,あなたがいればそれで良いわ。

そう,お母様が言ってくれることを願っていた。

前日までグダグダと未練がましく思っていたのだ。

でも,言ってもらえなかった。

やっぱり,血の繋がりがない子供を育てるのは嫌なのだろう。

お母様は最後まで微笑んだままだった。

その瞳は頑張ってと言っているようで…

私はため息しか出てこなかった。
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