瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


でも,私だって人のことは言えない。
私も,自分のために復讐をするのだから。

イアン達のためではなく,悪夢から解放されるために。

お母様も,イアン達のためではなく,憎しみと苦しみと悔しさの感情から解放されるためなのだ。

結局私たちは,イアン達のためと綺麗事を言って,自分たちのためにイアン達を利用していたのだ。

なんて最低なんだろう。

でも…もう,私もお母様も限界だったのだ。

『アイリス様ですね。
どうぞお乗り下さい。』

何か,違和感が残る。

何かを忘れてしまっているような感覚。
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