瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
お金がないのにこんなに良い人を雇えるなんて,おかしすぎる。

でも,私は不安でいっぱいだったから,すぐに考えるのを躊躇して,目の前の事件に取り掛かる。

夜に出発したら,着くのは明け方くらいかな?着いたら朝食かな?とか考えていたのだけど,予想外のハプニングで私は戸惑う。

これじゃあまだ夜が明けない時間についてしまうじゃないかという不安が当たってしまったのは言うまでもない。

いや,普通夜中に幼い少女を放り出すか?

『一人旅,頑張ってください!』

何を勘違いしたのか,私を安心させるようにやたら笑顔になる運転手にため息しか溢れない。

『お家までついていきましょうか?』

『…ここは良いところなので,安心してください。』

『もう一人旅だなんて,偉いですね!』

どうやら他人から見た私は,一人旅に出て心細い小さな少女らしい。

そして,親戚の家で少しの間過ごす設定らしいのだ。
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