瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


みんな,幸せだなぁと私は思う。

そういう微笑ましい想像しかできないなんて,とても羨ましい限りだな。

私が人殺しを計画しているなんて,考えもしないだろう。

私が普通じゃないのかな?

いや,違うな,と私は思う。

普通なんて,この世界にはないし,人の数だけ存在する。

ただ,このパターンが多いから,それを普通という言葉に置き換えているだけなのだ。

暖かい家庭に誰もがいることはない。

暖かい家庭に住む人が多いだけで,それが“普通”なわけない。

私もある意味,普通なのだ。
< 80 / 169 >

この作品をシェア

pagetop