瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


そして,幸せも,不幸もないのだと思う。

私は幸せだなぁって思っていたとしても,他の人から見たら幸せそうに見えないこともある。

幸せだと思えば,本当に幸せになれるかもしれない。

だから人は,幸せでなくても笑うのだ。

不幸も同じ。

不幸だと思えば,自分は救われる。

つまり,自分がいけなかったとしても,不幸だから仕方ないと,言い訳ができるから。

幸せそうでも,不幸な人もいて,不幸そうでも,幸せな人もいる。

そうやって,世界は回っている。

不幸や幸せ,普通は,私たちを喜ばせてくれて,尚且つ誰でも使える優しい嘘だと思うことにした。

そうすると,やっぱり私も救われて,やる気が出てきたのだ。

暗闇の中,私は微かに笑って見せた。
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