瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


カランカランと,綺麗な鈴の音がして,可愛らしい扉は開く。

紅茶でも頼もうかな,とか考えながら入ると…

『いらぁしゃい……』

『……へ?……』

ラスボスみたいな雰囲気を出しまくっている人が出迎えてくる。

私は失礼なことに,入る店間違えたかも,と顔を白黒させた。

良いことをする人が良い人なわけじゃない。
悪いことをする人が悪い人なわけじゃない。

お父様に教えてもらった言葉が脳裏によぎる。

私は見た目は可愛いのに…と,落胆する。

今思えば,本当に失礼だなぁと恥ずかしくなるのだが,それは後の話。

その当時は本当にそう思ったのだ。

『え,えっと,すみませんっっ!』

なんで私が謝ってるんだろうと,心の中の声が言う。

でも,フツーに怖いんだもん。
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