瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


あー,びっくりした。

どうやら2人は本当に親子らしい。

確かに,似ているところがよく見るとたくさんある。

『お名前はなんて言うのですか?』

『私はシールと言います。
こちらは私の父,カシェです。』

やっぱり親子だったみたい。

シールさんが接客担当,カシェさんの方が料理担当らしい。

『こんなに朝早くから開いているお店なんて珍しいですね。』

ずっと疑問に思っていたことを口にすると,シールさんは悲しそうに言った。

『会いたい人がいるんです。』

『会いたい人?』

『はい。…この国の,王様。』
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