瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
唇をグッと噛んで,なんとか感情を抑えることに成功する。

つらい。つらい。つらい。

本当は,今頃私はあの国で,みんなで笑い合っていたはずなのに。

私はなぜ,他にも望んだのだろう。

あんなに幸せだったのに,どうして,もっと望むことをしたのだろう?

『………会えるといいね………。』

かろうじてそれだけ言うことができた。

声が震えてしまったのではないかと心配になったが,シールさんは頷いてくれた。

『おーい,シール!』

『はーい!』

シールさんはそう言ってかけ出したかと思えば,すぐに戻ってきて,私の前に何かを置いた。

『ジャーン!うちのカフェ限定,星空プレートでーす!』

うっすらと青色がかったお皿。

そこに散りばめられた,金色の卵。

赤いケチャップが流星群を思わせる。
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