瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
まるで…幸せを象徴しているみたい。

私とは無関係な“幸せ”という単語。

……あーあ。

もう,幸せを望んでも意味ないのかもしれない。

どうせ,叶わない。

でも……最後に少しだけ,幸せを望むとするのなら。

お母様に必要とされたい。
昔のように,愛情が欲しい。

だから私は…復讐をするのだ。

『俺の自慢料理だからな。絶対残すんじゃねぇぞ。』

『もー,お父さん顔が怖い。
もう少し愛想良くできないの?』

例え,この2人を不幸せにさせたとしても。

私は改めて決意を胸に刻み,スプーンを持つ。

『いただきますっ!』

大丈夫。きっと,大丈夫だから。

私は深く深呼吸してから口に食べ物を運んだ。
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