瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。

フローライトに身を任せ

世の中は残酷だ。

私を苦しめ,泣かせるだけの世界なんて,いらない。

あの日から,家族は壊れてしまった。

だから……

私が幸せを取り戻さないと。

「王がお会いになります。
どうぞ,中へ。」

どんなに辛い世界でも,希望はあるはずだ。

「北国の方から参りました。
名を,アイリスと申します。」

片言の敬語を並べて,王が現れるのを待つ。
どんなにブスでも,性格悪すぎでも,私は私のするべきことをする。

「遥々ご苦労だった。」

どんなことが待っていても………
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