瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
もう,私の人生には希望が1ミリも無くなってしまう。
私は,もう王に復讐を果たすことはできないのだ。
私は,もうお母様に愛してもらえない。
やっぱり愛など望んではいけなかったのだ。
私の人生には愛情がないようにインプットされているのだ。
それを無理やり望んだりするからいけないのだ。
うつむいて目を閉じる。
もう…どうでもいい。
「アイリスさん!」
エラが声を上げたと思った同時に,私の手に温もりが宿る。
「…私は,何も言えません。」
びっくりして顔を上げた私の目に,エラの笑顔がうつる。
「人殺しは,いけないと思う。
どんな事情があったとしても。
でも,私はそれを止めることはできないの。
アイリスさんがいなかったら,今頃私は暗闇の中で泣いていたと思う。
でも,そんな私を救ってくれたのはアイリスさんだから…私の恩人だから!
……協力はできないけれど,私には,止める権利もないの。
アイリスさんがいいならそれでいい。
……大丈夫,だから。」