瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「っっ……!」
温かいものが私の頬を伝う。
久しぶりに笑えて,久しぶりに泣いた。
エラは,私に忘れた感情を思い出させてくれる。
そして,こんな私に手を差し伸べてくれる。
大丈夫だと言ってくれる。
何にも大丈夫じゃない。
エラは私を助けてくれない。
でも,でも…その言葉に,私はすごく救われたんだ。
エラは私の欲しかった愛情はくれなかった。
でも,そばにいてくれた。
これ以上に,何を望めと言うのだろう?
「ありがとう…!」
涙でぐしゃぐしゃになりながらも,そう笑って言ってみせる。
それに応えるように,エラも笑ってくれたのだった。