瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「こんにちは〜!」

「こ,こんにちは…。」

前と同じように,カランカランとリズミカルな音を立てて,可愛らしいドアが開く。

「アイリスさん!?
い,いらっしゃいませ!!」

シールさんがびっくりしたような声を出す。

無理もない。

一昨日あったばかりで,私自身も会うのは当分先だと思っていたのだ。

急に現れた上に,女の子を連れているのだから,普通はびっくりする。

そしてエラも緊張しているのか,私の後ろに隠れて出てこない。

「とりあえず,紅茶頼んでも良いですか?」

私はカウンター席にエラと一緒に座りながら言った。

「あ,はい!少々お待ちくださいっ!」

慌ててシールさんが厨房に入って行く。

そのタイミングを狙って,エラが不安げな声で

「本当に私ここで働いて良いのかな…
孤児院に住んでたから,働き方とか分かんないし…。」

と言った。
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