瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
と,そんなことを話している間にシールさんが私の紅茶だけでなく,エラへのジュースも持って来てくれた。
砂糖をドバドバ入れていると,
「それで…あの…」
シールさんがエラをチラッと見てもどかしそうに言う。
「…この子はエラって言うんです。
その…折り入った事情があって…エラを,ここで働かせてくれませんか?」
シールさんは目を見開く。
無理もない。
すごく急だったし…
エラを見ると,すごく不安そうに私とシールさんを交互に見ている。
長く感じた沈黙の後,シールさんが口を開いた。
「それは,出勤って意味ですか?
それとも…住み込みで働く感じですか?」
シールさんもなんとなくエラの事情について感づいているようだった。