瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


実は私もそこまで自信がなかったのだ。

ダメ元で頼み込んで見ようと思っていたのに,まさか本当にOKしてくれるなんて。

「本当にいいんですか!?」

びっくりしすぎて,そう聞いてしまうほどだ。

そんな私をたしなめるようにシールさんは笑い,

「実は人手が足りなかったんです。」

と,柔らかく言った。

「今日からよろしくね,エラちゃん。」

「ぁ,はい!よろしくお願いします!」

そこからは話がトントン拍子で進み,エラの少ない荷物を新しい部屋に持っていく。

1階がお店,2階が自分達の生活スペースの構造になっていて,エラの荷物を運んでいると,

「アイリスさん。」

そう,エラが話しかけてきた。

作業をやめてエラの方を向くと,

「本当にありがとうございました!」
< 97 / 169 >

この作品をシェア

pagetop