線香花火が落ちたキミ
ハッとして振り返る。
そこには、大学生であろう男女二人がいた。
携帯ばかり見てる男と、それにしびれを切らしている女の姿であった。
上からまるで重たい石でも乗せられたかのように僕は深くため息をついた。
ジリジリと太陽の日差しが焼きつけるような夏の昼下がり、僕は営業場所へと歩いている途中であった。
ここのところ、仕事に明け暮れる日々。
癒しも何もなく、ただ忙しなく過ぎてく毎日。
ちょっと前の自分だったら、嫌で嫌で仕方がなかっただろう。
だけど今は、とても好都合である。