線香花火が落ちたキミ
ある程度食べ物を頼み、酒も入った所で、
お互いの近況報告をする。
これが僕らのお決まりだ。
半年に1回、もしくは1年に1回行われるこの飲み会は、
時に、お互いの地雷を踏む事もある。
「そう言えば、あの彼女とはどうなのよ?」
正しく、今である。
僕は、ゆっくりグラスを置き、
とあるアニメの父親のように、
両肘をカウンターに付き、手を組んだ。
その面持ちは、まさにあのアニメの父親のように、、、
隣で、ゴクリと飲み込む音が聞こえていた。
僕は、今だ!と思い、言った。
「振られました…。」
へにゃへにゃと効果音がつくように、
カウンターに頭をつけた。
「そうか。そうか。今回は長かったな。」
そう告げる友人に冷たさを感じなくもないが、
納得もしている。
確かに長かった。
「短くて何日だっけ?」
「2週間。」
「前にも聞いたっけな。悪い、悪い。」
1ミリも悪いと思っていないだろうが、そこはあえて触れない。
未だに起きあがろうとしない僕に、友人は話し続ける。
「一応落ち込んでるんだ?まあまた新しい女出来るだろうから落ち込むな~」
と、背中をやたら叩かれる。
さっきまで食べてた物が出そうなくらいに。