【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「全く裏口から入ろうとするなんて、不法侵入で警察に捕まるぞ?
君には…本当に参る。こんな事かと思って来てみれば、君はいつだって俺の想像の斜め上の行動ばかり取って…」
「褒められている…?」
「褒めてねぇよ!」
樹くんの激が私の頭へ落ちる。
しかめっ面をして怒ってはいたけれど、ぐいっと私の手を取った樹くんは手のひらをジーっと見つめる。
「手のひらマメになっている。それにこんな所をよじ登って怪我でもしたらどうしてくれる。どうしてここまで陽向の為に……」
「あはは、思い立ったら行動をしてしまうのは私の悪い癖でありますッ」
「ふん。考えすぎて動けなくなるよりかはマシなのかもしれんがな…。
全く君には敵わん。」
そう言って、樹くんは私の手を引いて走り出した。 走り出したら秋の風が気持ちよく頬を通り過ぎて行って胸の鼓動を速めて行った。
樹くんは正門からではなく、裏門から学校へ入って行った。
勿論警備員に止められたけれど、学校関係者が樹くんの姿を確認すると直ぐに大慌てで立派なスーツを着た中年男性がやって来て
彼に向ってペコペコと何度も頭を下げて、すんなりと校内に通してもらう事が出来た。