【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「おーい!チビひなたー!!」
大声でそう叫ぶと、チビひなたは真っ赤になってそっぽを向いてしまい
黒板の前に立つ若い女教師はゴホンとひとつ咳払いをした。 保護者のひそひそ話は私へと向けられていた。
「んまあ、派手な人ねぇ。」
「誰の保護者かしらぁ?」
「この学園に相応しくないわよねぇ」
そんな声が嫌でも耳に入って来る。 私は一歩後ろを下がって、視線を落とし小さく縮こまる。…だよね?確かに場違いで相応しくない。
けれど樹くんは前を向いたまま、言った。
「何も恥ずかしい事をしている訳ではない。
胸を張れ」
その声が頭の上を降ってきて、顔を上げると樹くんの真っ黒の大きな瞳は穏やかに微笑んでいる。
ビシッとお洒落なスーツに身を包んで、シャンと胸を張る。その姿を見てやっぱりかっこいいと思った。
「でも私、やっぱり場違いですよね。」
「キチっとした服装に身を包んでいるからと言って威厳を保てる訳ではない。
俺はコソコソと周囲ばかり気にして、人の悪口を言っている人間よりも
どこまでも真っ直ぐで馬鹿みたいでも一生懸命な人間の方が好きだ」
好きだ。彼はハッキリとそう言った。ジーンと感動して、涙が溢れそう!やっぱり樹くん、好き!
私はEカップの胸を堂々と張った。大きさなら誰にも負けない! そしてこそりと樹くんへ言ったのだ。