【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「好きだ、なんて…。告白ならばこんな人の沢山いる所ではなくって二人きりの場所で言って下さいよ」

「調子に乗るな」

周囲の声や目はもう気にならなかった。
だって隣には理解ってくれる人が居る。 

参観日は滞りなく進んでいった。チビひなたはやはり勉強が得意らしく、積極的に手を挙げて質問に答える。

黒板に向かって問題を解く姿は、どこか誇らしげだ。これは野次も飛ばしたくなるものである。

「きゃー!チビひなたすっごい!!」
「天才!」
「よッ日本一!」

何故か私が野次を飛ばすたびにドッと笑いが飛び出す。
チビひなたはその度に顔を真っ赤にして「うるさい」とこちらへ向かって口パクで言ってきた。
「今日は元気な保護者の方がいますねぇ」と言った若い担任の教師の笑顔は引きつっている。

やっぱり今日来れて良かった。 樹くんのチビひなたを見つめる眼差しも誇らしげだし、チビひなたも口ではああは言ってもどこか嬉しそう。

授業が終わって、今日はそのまま学校は終わりらしい。 樹くんも今日はこのまま家に帰れるように仕事を終わらせて来たと言っていた。

「デカひなた。お前すっげー目立って恥ずかしかったぞ?ホームルームでナオとユウヤにからかわれて恥ずかしかったんだからな」

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