【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

樹くんと手を繋いで校門の木々のアーチをくぐる、チビひなたは生意気な事を口にした。

「へーへーそりゃあすいませんでした。
でもチビひなたすっげーじゃんか。頭いいんだねッ。あんな難しそうな問題すらすら解いちゃってさ。
私にでも解けるか分かんなかったもんね」

「お前みたいな馬鹿と一緒にするな。ほんっとうにそんな目立つ格好してきやがって。
いとこのお姉さんって嘘をついたけど、そんないとこ居るのでさえ嘘でも恥ずかしいんだからな」

可愛くない事ばかり言っていたけれど、樹くんと手を繋ぎながら私に話を掛けるチビひなたはやっぱり嬉しそうで饒舌だった。

「陽向、今日はお父さんも仕事がない。夜は何が食べたい?
今日は頑張ったから陽向の好きな物何でも食べさせてやる」

「いいの?!やっりー!お父さんがこんな時間に仕事終わるの珍しいね?」

「ああ、たまにはな」

樹くんを見上げるチビひなたは嬉しそうだったけれど、それを見下ろす樹くんはもっともっと優しいお父さんの顔だ。

やっぱり今日は参観日に来るべきだったんだ。自分の選んだ選択が間違ってなくって、心から安心している。

…それにやっぱり親子って何だかいいな…。

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