【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

一度は喧嘩のような事があってそれは流されてしまった約束だと思ったけれど、あの参観日以来あれよこれよと日時と場所は決定してしまった。

借りを作るのが嫌いな樹くんがただただ単に約束を守ってくれただけなんだけど。…それをデートと呼ぶには余りにおこがましいけれど。

ただ私は迷っていた。
忙しい樹くんにとっては、休みは貴重。 その貴重な休みを私に使って良い物なのか。

本来であるならば、家族水入らず。いや、絶対にチビひなたの為に使うべきだ。
だけどまるで私の心でも読みとったかのようなラインが続けざまに入る。

『どうせお前が無理やりお父さんをおどすような事をしたんだろう。
まあそれでもお父さんが女の人と出掛けるのは珍しい事だから勝手に喜んでろ。
でもお父さんがデカひなたを好きになったりすることは絶対にないからな』

本当にこの子7歳児?!

『チビひなたは土曜日何をしているの?』

『僕は家で勉強でもする。動物園なんて子供の行く所だ。』

普通の7歳だったら、お父さんが動物園に行くのを知っていたら自分も行きたいと我儘を言うに決まっている。

それをこの子は我儘の一つも言わずに、可愛くないラインを送りつける。…それがとても切ない。

一緒に行こうよ。そう言ってあげられない自分の心の狭さは息苦しい。

< 125 / 251 >

この作品をシェア

pagetop