【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
土曜日。私達の恋を祝福してくれるような日本晴れ。雲一つない青空が頭の上に広がっている。
今日の為にワンピースを新調した。秋らしいブラウンのワンピース。それに合わせて帽子も買った。長い茶色の髪をぐるぐるに巻いて気合いは十分。
メイクも1時間も掛けた。とはいえ、可愛くなったとは言い難いが…。
今日は家の近くの駅まで、樹くんが迎えに来る事になっていた。
今日はちょっとしたお弁当も作って来た。うちには炊飯器がないからサンドイッチで。美味しくはないけれど、手作りお弁当は男性を落とす時マストだと何かの雑誌で読んだ。
そんなよこしまな事を考えながら駅の前で待っていると、この間乗ったばかりの樹くんの黒いワゴンが道に横付けされる。
「やあ、おはよう」
「お、お、お、おはようございますッ!」
窓を開けて顔を出す爽やかな笑顔。
ちらりと白いお洒落なシャツが見える。 今日はスーツじゃない!家で見るパジャマでもない!
初めて見た樹くんの私服はカジュアルだけど、とてもお洒落で彼によく似合っていた。 そして大きな瞳を瞬かせて太陽の下、眩しい笑顔を見せる。
それだけでクラクラとして倒れそう。