【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
くっくっくっと笑う樹くんが、信号が赤になった瞬間こちらを向いた。
「仲が良さそうで結構」と何故か嬉しそう。
全然仲が良い訳じゃないけれど!?
都心を1時間程度走らせると、動物園に着いた。
土曜日とあって、家族連れやカップルが大勢居る園内は賑わいを見せていた。
クマさんのリュックを背負うチビひなたは車の中で散々文句を言ってたが、入場ゲートで目をキラキラに輝かせていた。
その顔を見た瞬間に、やっぱり連れてきて良かったと心のどこかで思っている自分が居た。
当たり前のように樹くんと手を繋ぐチビひなた。う、羨ましい。けれどここは我慢我慢。 でもさ何だかんだ言って私この雰囲気が嫌いじゃない。
この間家で3人で過ごした時も思った事だけど、チビひなたを見つめる父親の顔をした樹くんだって素敵なんだ。
「お父さん、あれ見てよ!パンダ!」
「おお凄い人だかりだなぁ。陽向見えないだろう。おいで」
そう言って、樹くんは軽々とチビひなたを抱っこした。
あああああ、羨ましい。チビひなたになりたい。
「すっごいよく見える…!
ねぇ、見てよ。前に見た時は寝ていたけれど今日は元気そうだね」
「そうだな。丁度涼しい季節だから動物達も過ごしやすいだろう」
「お父さん、小さいのも居るよ。あれ子供かなぁ」
「丁度先月子供のパンダが産まれたとニュースで言っていた。」
「じゃああれ家族だね。すげーや。」