【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「お父さんは何が好き?」
「ん~…俺は陽向位の頃ライオンが1番好きだった。」
「え~、怖くなかったの?」
「だって百獣の王だぞ?ジャングルの中では1番強いんだぞ。
かっこいいだろう?」
「私は樹くんの方がかっこいいと思いますけどッ」
手を繋ぎながら動物を見る二人の横で顔を赤らめながらそう言うと、親子揃って口を歪ませて変な顔をする。
…全くそういう所はそっくりなんだから。
「じゃあライオンがこの動物園で1番なのかー。それってかっこいいね!
そんな話聞くの初めてだ。
そういえば僕、お父さんと動物園来るの初めてだね」
え?!そうなの…。やっぱり連れてきて良かった。
「いや、陽向が2歳の頃1回家族で一緒に来た事があるんだよ。
陽向は小さかったからあんまり覚えていないか。」
「そうなの?
全然覚えていないや」
ちょっぴり悲しそうなチビひなたの顔。言ってしまった後樹くんが’まずい’って気まずそうな顔をした。
’家族’と言った。
それは昔の楽しかった頃の記憶だろう。
小さすぎてチビひなたは覚えていなかったけれど、奥さんの向日葵さんと3人で来た。きっと樹くんにとっては忘れられない記憶。
やっぱり胸がぎゅっと締め付けられる気持ちになる。