【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「トイレ位一人で行けるよ。子供扱いするな。
それにお父さんと今日は全然二人きりになれてないじゃん。」

だからなんつー気の利く子供よ。てかあんたは私と樹くんの恋を応援してるのか邪魔したいのかどっちなのよ。

「ソフトクリーム何がいい?」

「じゃあチョコとバニラのミックスで」

「分かった。じゃあ僕ちょっと行ってくる!」

「おい、陽向気をつけろよ?!本当に一人で大丈夫か?」

「大丈夫だって。お父さんこそ子供扱いするなよぉ!」

樹くんからお金を貰って風のようにぴゅーっと去って行ってしまう。

本当にもう…生意気な口を利いたかと思えば、子供みたいに動物園を楽しんじゃって、そのくせに変な気を遣うんだから。

チビひなたの背中よりも大きなクマのリュックが揺れる。 それを見て、可愛いなと不覚にも思ってしまったんだ。


樹くんと取り残されて、何だか照れくさい気持ちになってしまう。

ふと彼の方を向いたら、頬杖をついてさっきと同じ目を細めて優しく微笑む。太陽の光を浴びた彼のその顔が余りにも綺麗すぎて、思わずドキドキしてしまう。

「今日は、ありがとう」

「え?」

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