【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「君に陽向も連れて行こうと言われた時は驚いた。
陽向には土曜日にデカひなたと動物園に行く約束が入ってるからと正直に言ってあったんだ。
そうしたらあいつ、ふぅんって言ってたけれど本当は動物園に来たかったと思う。あんまり自分からどこかに行きたいと言う子じゃないから。
でも君の手前俺からまさか陽向を一緒にとはどうしても言えなくて…だからありがとう」

そんな素直にお礼言われたら、こっちが照れちゃうよ…。

「えへへ。樹くんとデートが出来るのなんか夢みたいなんだもん。
でもそこにチビひなたが居たらもっと楽しいかなって思っちゃった。
そしたら想像以上に楽しくて自分でも驚いちゃった。良い子だね、チビひなたは…。それにすごく可愛いし。
私子供はあんまり好きじゃないって思ってたから、こんな気持ちになるのびっくりなんだけど
チビひなたと手を繋いだ時少しきゅんきゅんしちゃったよ。子供を愛しく思う気持ちって、少し恋に似ているね」

テーブルに乗せていた手。さっきまでチビひなたに繋がれていた左手。
嘘じゃない。

柔らかいあの小さな手に包まれて、きゅんとした気持ちは少し恋に似ている。
樹くんは私をジーと見つめながら、ゆっくりと自分の手を私の手に重ねてきた。

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