【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「大丈夫か?」
「ん……だいじょ…ぶ。」
「私絆創膏持ってる!あっちに水道があったから水で洗い流そう!」
立ち上がったチビひなたは、両こぶしをぎゅっと握りしめて涙を我慢していた。
「でも、ソフトクリームが…」
「ソフトクリームはもう一度買いに行けばいい。
陽向膝は痛くないな?男の子だから我慢出来るよな?」
樹くんはそう言った後にハッとした。 そして繋いでいたチビひなたの手を離した。
唇をぎゅっと噛みしめて、瞳の涙が零れ落ちないようにぐっと我慢をしているチビひなたは、アスファルトの上に落ちたソフトクリームを見つめて「大丈夫」と何度も繰り返した。
たまらず、人目もはばからずに小さなチビひなたの体をぎゅっと抱きしめる。私のその行動に樹くんは眼を丸くした。
なんて小さくて、柔らかい体なんだろう。
「デカひな…ごめん、ソフトクリーム…」
「いいんだよ。新しいの私が買ってあげる。 ありがとうね、チビひなた。優しいね、あんたは。
痛かったね。我慢しなくていいの、泣いていいんだよ」
ぽんぽんっと背中を数回叩いたら、チビひなたの大きな瞳からぽろりと涙が零れ落ちる。
ぎゃあ、と大きな声を上げてチビひなたは私の胸の中泣き出してしまった。 小さな体には、抱える物が大きすぎた。