【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
頭を抱えてハァーと大きなため息を吐くのは、新庄 かおるだ。
現在は都内のカフェで仕事の休憩中。かおるちゃんは都内にあるテレビ局で今日は撮影があるらしい。
かおるちゃんはスタイル抜群のすっきりとした系美人で、芸能活動を行っている。とはいっても本人いわく’全く売れない芸能人’らしくテレビで観る日はほぼない。
「ねーねーかおるちゃん、本日のパンケーキすっごく美味しそうッ。半分こして食べない?」
「そんなの食べないッ。私はダイエット中なのッ。
それよりひなた、小鳥遊に会いに行くなんて止めなよ!
だってやり捨てをするような男よ?!あいつの本性はもう十分分かったでしょう?!」
美しい顔を歪ませながら怒るかおるちゃん。折角の美人さんが台無しだよ?
ピリピリ、苛々。きっと糖分が足りてないに違いない。
私は明るい声でカフェの店員さんを呼んだ。
「すいませぇーん!この、本日のおすすめのレモンパンケーキひとつくださーいッ。
あ、フォーク2つ下さいッ。ふたりで食べるので!」
「ちょッ…私はダイエット中だって言ったでしょう?!」
更に深くため息をついたかおるちゃんは、ついには両手で頭を抱えだしてしまった。
ゆっくりと頭を上げると、切れ長のすっきりとした瞳で呆れるように私を見やる。