【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「お風呂温めておきましたぁ!!!
それにご飯も出来ておりますッ!」
「それはそれはありがとう。」
「もしよろしければお背中流しましょうか?!
私裸になってご奉仕致しますッ」
「あはは、また冗談を。止めろ、気が抜ける」
笑いながら樹くんはお風呂に向かってしまう。…冗談なんかじゃないのに。
やっぱり樹くんにそういう気はないのかな。私…この際身体だけの関係でもいいのにな。いや、それはちょっぴり悲しいけれど
チビひなたの手前彼女にして欲しいなんて…言えない。 結婚して欲しいなんて口が裂けても言えない。だって樹くんは今も向日葵さんを大切に想っているから。
分かっているのに、彼には忘れられない人が居て守るべき存在もある。私の入り込む隙間なんてない。
それでも一緒に過ごす時間が多ければ多い程、欲張りになっていく自分が居る。身体の関係でいいって思っていてもそればかり続いたらきっとそれ以上を望んでしまう自分が居るんだ。
お風呂から上がって夕ご飯を食べる樹くんの姿を見つめる。 本来であるならば、こんな姿を見るのだってありえない話だったのだ。
「…あんまりじろじろ見るなよ。食べずらい…」
「あ!ごめんなさい。余りにも綺麗な顔をしてご飯を食べるもんだから!」
「~~~!だから君は、よくもそんな言葉恥ずかしげもなく言えるもんだ」
「私は素直だから思っている事が直ぐに口から出てしまうんですぅッ…。」