【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「美味しいよ、この焦げ焦げの唐揚げ。」
「あーっすいません…。揚げ物なんて普段しないから」
シュンと頭を下げると、目の前の樹くんはニコッと微笑み唐揚げを美味しそうに頬張った。
チビひなたもそうだけど、樹くんは私が出した料理どれだけ失敗しても全部食べてくれる。そんな二人の優しさが、私には嬉しかった。
「ところで」
「え?」
「今週の金曜日だが、君はマーメイドで仕事だろう?」
「あ、そうですね。金曜はマーメイドでバイトが入ってます。
何かありました?もしかして仕事がお忙しいですか?もしあれでしたらバイトを休んでチビひなたの面倒は見ますが…」
「いや、それは結構。
今週の金曜日は父が陽向を連れて1泊で旅行に行くそうだ。」
「おじいちゃんと?そう言えばチビひなたが自慢げに言ってました。
おじいちゃんと軽井沢の別荘に行くんだって。お前別荘なんて持ってないだろう?って馬鹿にされましたけど
そして一緒に行くかって誘われましたけど」
「誘ッ!?」
箸を置いて、焦った表情で樹くんが顔を上げる。
「あ、勿論断りましたよ?!
折角のおじいちゃんと二人の旅行ですし、私が行ってもお邪魔になるだけですし」