【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

ギリギリと強い力で握られる手。
ジュリさんが小さな声を上げて、それに気づいたスタッフが私達の卓へと駆けつける。

手を押さえつけながら何故か私を睨みつける社長。 その社長の目の前へ顔を突き出して、鋭い樹くんの視線が刺さる。

「お、お客様どうされましたか?!」

騒ぎを聞きつけた店長もやって来て、平謝り。

「こいつがいきなり俺に暴力を振るってきた!
こんな奴追い出せ!
お前、俺を誰だと思っている?!」

樹くんを指さした男は、ゆっくりと彼の顔を確認した後「ひぇ!」と声を上げた。
ニコリと笑いを掛ける樹くんの顔が…怖い。 店長が「小鳥遊様?!」と声を上げる。

「どうも。これはこれはナイツプラネットの社長の小高さんではないですか。」

「ひッ。小鳥遊…さん…」

「社交の場でみっともない姿を見せるのは大人としてどうかと思いますよ。
お宅との会社との取引は今後考えさせて貰います」

「そそそそそそんな困ります…!小鳥遊さん!」
真っ青になる社長を尻目に、樹くんが私の手を取り立ち上がらせた。
そして店長に向かって頭を下げる。

「小鳥遊様。本日はご予約ありがとうございます。
ご無礼があった事、申し訳ありません。 スイートVIPの方はご用意させて頂いておりますので、どうか…」

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