【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

この間はあんまりじっくり見ることの出来なかったお風呂。 白のヨーロッパ風のバスルームの浴槽は真ん丸で大きい。

大きな窓がついており、そこからは東京タワーが見える。 お湯の上には真っ赤な薔薇の花びらがそよそよと泳いでいた。


二人で入るには広すぎる浴槽で、樹くんから離れて端っこでお湯に浸かる。 ちらりと視線を横に向けると、両手を浴槽の縁に広げた樹くんの不機嫌そうな顔。

不機嫌そう、と言うよりは不服そう…? 私は自分が強引なタイプだと思っている。好きな人には真っ直ぐだし、だけど強引にされるのは苦手…というか慣れない。

一体樹くん何を考えているの?目線を逸らして、お湯に浮かぶ薔薇の花びらを指で悪戯に遊んでいると、後ろからふわりと樹くんが私を抱きしめる。

心臓止まるかと思った。

樹くんの大きな手が私の胸をゆっくりと掴んで、そして抱きかかえ自分の方向へ向かせた。
思わず両手で胸を隠し下を向く。真っ赤になっている顔を、樹くんに見られたくない。

「どうして君はそうなんだ…。
俺の事を好きだ好きだってしつこくしてきて
いつの間にか俺の生活の中に入ってきて、いつだって誘ってくる癖に…
どうしてそんな顔をする…」

甘いキャラメルボイスはとても優しく降り注ぐ。

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