【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

樹くんの動きがぴたりと止まる。
上目遣いでこちらを見つめる視線が突き刺さって、もうどうなってもいいと思ってしまう。

「昨日言った言葉とは?」

「私を好きだ、とか…
君を俺の物にしたいとか。
そんな事が聴こえたような気がするんですけれど、あれって幻聴ですよねー?!
自分でも妄想癖があるとは思っていたんですが、まさかあんな言葉が幻聴で聴こえる位重症化しているとは思っていなくって」

「君が好きだ。君の全てを俺の物にしたい。
ずっと一緒に居て欲しい」

私の目を見て、そう真剣に言ったんだ。 私はまだ夢の続きを見ているのだろうか。 いやこれは現実だ。

だって抱きしめる樹くんの体はとっても温かいから。

「まさかデカひなたを好きになるなんて…夢にも思わなかったが…。
俺はどうやら君の事が好きなようなんだ…。
君と一緒に居るのは楽しいし、一緒に居て落ち着く。
もう誰とも恋はしないと決めていた。だけど君が勝手に俺の中に入り込んできて…
こんなに好きにさせてどう責任を取るつもりだ」

ぎゅっと樹くんの首に抱き着くと、彼は「ぐえ!」と声を上げた。

「だから君は、俺を殺す気か!」

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