【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

ジョージさんがただ者でないのは何となく気づいていた。

ドロップアウトしてからパートとして仕事をしているが、長期休みを取るのなんてザラでお金には全く困っていないように見えた。

けれどまさか…私の話を聞いてくれた気の良いおじいちゃんが樹くんの父親だったとは…。

そういえばジョージさんには息子さんも居て、孫まで居ると言っていた。 その孫の名前が陽向だとも。

どうして私そんな事にも気が付かなかったんだろう。

「陽向、軽井沢の別荘は楽しかったか?」

「うん!楽しかった!今度はお父さんも一緒に行こうね!」

ジョージさんの手を離れたチビひなたは樹くんに駆け寄って、旅行のお土産話を楽しそうに話す。

その少し後ろでぽかんと口を開けたままの私に、ジョージさんは耳打ちした。

「恋が叶うオルゴールの効果はどうだったかね?」

「ばっちり!超ばっちりだった!
でもまさか…ジョージさんが樹くんのお父さんだとは知らなかったよぉ!やられたなぁーッ」

「君の話は陽向から聞いていた。今回の旅行中もずっと君の話ばかりしていたよ。
大分前から君と陽向の話に違和感を覚えていたんだ。直ぐにピンと来たよ。
おじいちゃんの会社で働いている女が、お父さんのストーカーなんだよって話をしてくれたから」

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