【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
そして誇らしげに自分のリュックを両手に持って見せる。ジッパーの部分にはお揃いのキーホルダー。それにもひなたと刻印されている。
「レッサーパンダを探したんだけど、無かったんだ。だから狸にした。
デカひなた狸系の顔だから」
そう言って笑うんだ。その笑顔が可愛らしくって、お土産も本当に嬉しくって、思わずチビひなたを抱きしめる。
折れそうに細くて、柔らかい。子供の良い匂いがする。 ねぇ、あんたは7歳児なのにどうして私の心をここまでキュンキュンさせる術を知っているのよ。
「苦しいなぁ、馬鹿力」
「嬉しい!チビひなた!宝物にするからね!」
「大袈裟だなぁー」
「そりゃあ大袈裟にもなっちゃうよぉ!
お揃いなんて彼氏と彼女みたいだねッ」
にこにこ笑ってそう言うと、チビひなたは顔を真っ赤にさせて再びゲームのコントローラーを握る。
チョコレートを持ってきた樹くんはそのキーホルダーを凝視して、チビひなたに言った。
「陽向、お父さんには?」
「お父さんにはないよ」
「そりゃ酷くないか?お父さんは仲間外れか?」
「だってお父さんは大人だもん。そんなの貰っても嬉しくないでしょう?」
おい、それじゃあ私がまるで子供みたいじゃないか。