【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「それにおじいちゃん言ってたもん。お揃いは恋人同士が持つ物だって」
この子は将来女たらしになるかもしれない。さらりとそんな事を言ってしまえるなんて。
その言葉を聞いた樹くんは絶句をして、少しだけショックを受けている様だった。
チビひなたから貰ったキーホルダーを誇らしげに掲げてニヤッと笑うと、ほんの少し悔しそうな顔をして笑った。
ゲームのコントローラーを握ったまま、チビひなたはけらけらと笑いながら言った。
「そーいえばおじいちゃん変な事言うんだー」
対戦ゲーム。
画面の中で私のキャラとチビひなたのキャラが戦い合う。
このゲームに1回も勝てた事はない。えい!えい!と体全体を動かしながらコントロールを握ると。チビひなたは馬鹿にしたように笑った。
ソファーに腰をおろす樹くんも笑いながら、その様子を見つめていた。
「デカひなたとお父さんが結婚する事になったらいいなって」
思わずコントロールが手から滑り落ち、画面の中無残にも私のキャラはぼこぼこに殴られてしまった。
「へったくそー!また僕の勝ちだー!
ねぇ、お父さんそんなのありえないもんね?」