【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「だって…向日葵は…?陽向くんはどうするの?
私…あなたがずっと二人を大切にしていたのを知っていたから…」
「向日葵の事はずっと忘れないし、大切だ。陽向にも彼女の事はきちんと話そうと思っている。
俺だって、ずっと前に進めないと思っていた。 けれど彼女に出会って俺は変わったんだ…。
向日葵の事は忘れずに、彼女とこれからの人生を生きて行きたいと思っている。初めてそう感じさせてくれる女性に出会ったんだ」
樹くんは夏村さんに向かって、真っ直ぐとそう言ってくれた。
彼女は顔を伏せたまま、社長室を走って出て行ってしまった。
怖かった。憎いものでも見るような彼女の瞳が、ソファーに座っていても膝ががくがくと震え出した。
そんな私を、樹くんはふわりと抱きしめた。
「ごめん…」
「樹くんのせいじゃないよ…あの人の言う事も一理あるし…」
「夏村とはずっと仕事仲間としか思っていなかった…。まさか君にあんな事を言うなんて」
「だから言ったじゃん。樹くんは鈍感すぎだよ…。
夏村さん…向日葵さんが亡くなった後もずっと樹くんだけを見つめていたんだ。
ううん、向日葵さんと付き合う前からずっと……」