【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

その重い恋心は分かる気がした。だからこそこんなに切なくなるんだ。 長い長い間、たった一人の人を想う事がどんなに辛い事か。

それでも彼女は、樹くんの1番近くに居た。

「まさか君に言われた時は冗談かと思った。夏村が俺の事なんて…。
ずっと一緒に仕事をしてきて、彼女を意識した事なんてなかった。
でも俺は、君じゃなきゃ駄目なんだ。もう…君以外を好きになれない」

大好きな人からのこんなに嬉しい言葉なのに、切なくなるばかりなのは何故なの?

’向日葵の代わりにはならない’
’陽向くんは認めない’

私を憎むあの瞳は、私の関係を知ってしまった後チビひなたが私に向ける視線ときっと同じだ。

やっと手に入れた大好きな人の腕の温もり。 大好きな人の気持ち。でも本当にこのままでいいの?

―――――

その日は樹くんと一緒に帰宅して、帰ったら既にチビひなたは居て

いつもより早くお父さんが帰ってきた!と嬉しそうだった。 心なしかいつもより樹くんに甘えているチビひなたの姿。

子供にとってお母さんが1番だと言う。でもチビひなたはお母さんを失った。そうならば、もう樹くんしかいないのだ。 でも私と樹くんが付き合っているって知ったら?大好きなお父さんまで取られちゃうって思うのは子供ならば普通なのではないのだろうか。

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