【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「ね?チビひなた」
手を伸ばそうとすると、バンッと強く振り払われた。
明らかな拒絶。振り払われた手より、心の方がよっぽど痛かった。
「嘘つき!」
「陽向!」
「僕、新しいお母さんなんていらないもん!
それに…それに…やっぱりお前が優しくしてくれたのは、やっぱりお父さん目当てだったんじゃないか!
お父さんに近づく女は、皆同じだ!」
それだけ言い残し、チビひなたはリビングから走って出て行ってしまった。
樹くんは苦笑い。ごめんな?と私へ言う。 無理をして、樹くんへ笑い返して見たけれど、ショックで仕方がなかった。
チビひなたに嫌われた。もうあの子は私に無邪気な笑顔を向けてくれる事はないだろう。
彼にとって私は、大好きなお父さんを取った敵に映った事だろう。 そしてお母さんを失くしたチビひなたにとってはもうお父さんしか居ないのだ。 お父さんまで取り上げる権利は、私には無い。