【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

大きなツリーの前で足を止めて、大きな瞳はてっぺんにある星を見上げた。

「サンタさんなんかいないよ。僕は知ってるんだ」

「な!そんな子供らしくない事言わないの!サンタさんは居るよ?!
チビひなたの欲しい物何でも買ってくれるんだから!」

「お母さんが亡くなる年のクリスマスにサンタさんにお願いした…」

「え?」

「お母さんの病気を治してくださいって。 でもその願いは叶えてくれなかった。
代わりにお父さんが夜にクマの大きなぬいぐるみを枕元に置いてた。
だから、サンタさんは居ない。 僕のサンタさんは1番叶えて欲しい願いは叶えてくれなかった。」

ツリーを見上げていたチビひなたの瞳にうっすらと涙。
その願いならば、私もした事がある。

私は小学校4年生までサンタさんが居ると本気で信じていた。 だから毎年サンタさんには両親ともう一度一緒に暮らしたいとお願いしていた。

おばあちゃんはきっと困っていただろう。勿論その願いは叶えられることなく、毎年クリスマスには2番目に欲しかった物が枕元に置いてあった。

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