【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

胸がぎゅっと締め付けられる切ない気持ち。 私だってこの子の願いは叶えてあげられない。

膝を曲げてチビひなたの冷たくなった両手を握り締める。 それをもう振りほどこうとはしなかったけれど、大きな瞳いっぱいに涙を溜める。

’代わりになんかならない’ ずっと分かっていた。 それでも守り続けたいと思うのは、いけない事だったのでしょうか?

お母さんにはなれないから。永瀬ひなたとして、この子を守り続けて行きたい。

「お…母さんに…会いたい…」

クリスマスカラーに染まって行く街並みには、母に手を引かれたチビひなた位の子供達が沢山。

寂しくない訳がない。 泣かなくたって、我慢をしていたって、想わない日などない。 私みたいに大人になったって、仲良さそうな家族連れを見て胸がきゅっと切なくなるのだ。

この小さな体に抱えきれない想いは、計り知れない。
大きな瞳からぼろぼろと涙が零れ落ちていく。

「ヒック…お母さん…会いたい…。寂しいよ…」

「会いたいよね?寂しいよね…。我慢しなくていいよ。泣いてもいいよ」

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