【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
「でも僕がお母さんの事で泣くと…お父さんが悲しい気持ちになっちゃうから…。
ヒック…ヒック…
それにお父さんはデカひなたが好きなんだろう…?
そうしたらいつかお母さんの事…皆忘れちゃう…」
小さな体が震えている。 大好きなお父さんの気持ちを考えて泣く事を我慢してしまった子供。
忘れられる訳がないんだ。だってこの子の半分に、向日葵さんの血が流れている。
向日葵さんが居たから、この子が居るんだもの。
触れると、壊れそうに柔らかい。 壊れないように優しく優しく抱きしめるから、私…チビひなたの近くに居ちゃ駄目かな?
「チビひなた…お父さんはお母さんの事絶対に忘れないよ。
それにお父さんが1番大好きなのは、チビひなたなんだよ。
だから悲しい時はその気持ちをお父さんに素直にぶつけてもいいんだよ?」
「でもデカひなたが居るとお父さんお母さんの事忘れちゃうよ…
僕は新しいお母さんなんていらない…」
確かにこの子は私の事が好きなのかもしれないけれど
1番大切なのはお母さんで、いつまでもお母さんの居る場所を守りたかったのだ。
この小さな手で、お母さんとお父さんと居た日々を自分なりに守りたかったんだ。 やっぱりそこに私が土足で入っちゃいけなかった。