【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
午前中に取引先何件か回って打ち合わせを終わらせて、八代台のオフィスに向かう。
ふと足を街中で止めると、今年も大きなクリスマスツリーが飾られているのが眼に入る。
こんな大きなツリーを見たら、チビひなたもデカひなたも同じ顔をして目を輝かせるに違いない。 あの二人が顔を見合わせて笑顔になる姿を想像すると、心がほんのり温かくなる。
俺はもう知っているのだ。陽向がどれほど彼女を好きか。 お父さんを取られる事で怒っている訳じゃなくって、俺に彼女を取られる事につまらない気持ちになっているのだ。
今年のクリスマスは三人で過ごそう。
俺は二人へ抱えきれない程のプレゼントを買ってご機嫌取りをするから
また三人で一緒に過ごしたい。 俺にとっては最高のクリスマスプレゼントだ。
あの意地っ張り陽向をどう説得するか。あいつが彼女に会いたくてたまらないのにはもう気が付いている。
オフィスに着くと、直ぐに社内の打ち合わせが待っている。
いつも通り夏村に向日葵の花束を渡すと、彼女は気まずそうにそれを受け取った。
あれから夏村とはきちんと話はしていない。 彼女は学生時代からの友達で、向日葵とも親友だった。だからまさか俺に恋心を抱いているとは夢にも思わなかった。
けれどこの間のデカひなたへの態度を見ると、満更嘘でもないらしい。