【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「私ずっと学生時代から樹の事が好きだった。
向日葵と付き合っている時から、ずっと…。馬鹿みたいね。
でもそれでもいいと思ってた。仕事ででも樹の側に居られるならって…。
いつだって気持ちを伝える事だけは出来たのに。」

「ごめん、俺夏村の気持ちには応えられない。でもこんな俺をずっと好きで居てくれた事は、嬉しく思う」

夏村に向かって深く頭を下げると、彼女は少し笑い「顔を上げてよ」と言った。

「気持ちを伝えなかったのは、私が憶病だっただけ。その時点で私の敗けじゃない。
でも永瀬さんは違ってた。どうして樹がもう誰も好きにならないって決めつけるんですか?ってハッキリと言った。
気持ちさえも伝えなかった私の憶病な心が見透かされている気がした。
私は本当に駄目ね。相手の気持ちに確証が持てないと気持ちは伝えられないわ。弱いのよ」

「人って誰でも弱いもんだと思う。
俺もずっと恋愛に憶病になって逃げていた。
もう向日葵を失った時のような喪失感は味わいたくないって…
向日葵の為だけではなくって、自分の為に誰も好きにならないって決めていた気がする。
でもあいつは…ひなたは真っ直ぐに俺へと飛び込んでくるんだ。忘れていた気持ちを思い出させてくれるんだ」

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