【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー
お母さんの病気の事は余りよく分かっていなかった。
ずっと家に居てくれたお母さんが病院にばかり居るようになって、それは寂しかったけれど病院に行けばいつもと変わらない笑っているお母さんが居て、いつになったら帰って来るのかなぁとばかり考えていた。
僕の手をぎゅっと握りしめるお母さんの手は温かかった。
いつもと変わらない笑顔だったけれど、目を開けている時間が段々と少なくなっていく。
「陽向、大好きだからね。ずっとずっと大好きだからね。
お父さんとずっと仲良くするのよ」
不安になっておじいちゃんの方を振り向くと、皆悲しそうな顔をするから
僕はとっても不安になった。 だってお母さんはここに居るのに、こんなに温かいのに。
直ぐに退院してまた一緒に暮らせるんだよ。そう言ってたのに、お別れって何? 人が死ぬという事がどういう事かは理解していなかった。けれど静寂に包まれた病室内でいつの間にか不安は大きくなってしまって、僕は泣き出してしまった。
1回泣くと涙は止まらなくて、もしかしてもうお母さんに会えなくなっちゃうんじゃないかと思った。