【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

「チビひなたには別の買って来た。
玉子だろう、ツナマヨと納豆巻き。これならば食べれるだろう」

「チビひなたって言うな!」

ごめんごめん、と笑って樹くんはチビひなたの頭を撫でるけれど、チビひなたはぷんぷんと怒ったままだった。

私に言われるのは良いけれど、父親が自分をチビひなたと言うには不服らしい。

けれど玉子のお寿司を頬張るとチビひなたの機嫌は直ぐに直った。 全く子供というのは単純な脳みそをしているらしい。人の事を言えた義理ではないが。

ご飯を食べるとチビひなたはいつも通り私と一緒にお風呂に入ろうとせがんだ。

この3日間何をするにも私と一緒。私から決して離れなかった。 それはきっと、私が意識を失ってしまったから、お母さんが亡くなった日を思い出したに違いない。

知らず知らずにこの小さな子を不安にさせた事は、心が痛む。 後に聞いた話によると、私が死んでしまったと思いずっと泣き止まなかったらしい。

私も小さい頃そうだった。両親を失ってから、人との別れには敏感になっていた。自分の近くに居てくれる人、誰一人失いたくないと思った。

でもこの先も私と樹くんが一緒に居ることは、チビひなたをまた傷つける日が来る。

もっともっと大きくなって、反抗期なんて本格的に来ちゃったら私の存在など疎ましいだけだろう。

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